テクノロジーを生み出す 「ともいき主義」

 ともいき主義の社会を実現するためには、科学の分野でも革新的な技術を集め、活用することが大切です。世界を見渡せば、そのためのヒントはたくさんあります。

 たとえば、世界一の熱伝導率を誇るマイナス1℃〜マイナス120℃の低温・凍結技術で食品や医薬品、血液や臓器を、細胞を壊さずに品質を温存させたまま世界中に輸送する技術、

あるいは、光を当てるだけで材料の色を一瞬に200種類の色に変化させることができる技術(フォトクロミック材料)、

※写真はイメージ

針を使わず指の圧力だけで注射できる技術や、従来の機器以上に正確で豊富な健康データ収集・健康管理ができる新型ウェアラブル機器、

その他のにも多くの最新技術が存在します。

 革新的技術の開発に積極的な支援が必要な理由は、新技術の活用こそ、ともいき主義の実現を加速させるブースターになるからです。

「世の中を良くしたい」という使命を抱き、様々な革新的技術を研究・開発している企業は世界中にあります。しかし、その多くはベンチャーやスタートアップ、中小零細企業であり、資金や販路拡大の方策に乏しいため、日の目をみないまま頓挫してしまうこともあります。

 科学の発展は、経済活動や社会の発展と密接に関係しています。新たに確立された方法論や技術は、今までにない価値を持ったビジネス、財(商品)やサービスを生み出し、現実世界を豊かなものにしていきます。

こうした成果が経済成長を後押しし、再び新しい方法論や技術の登場につながり……といった経済の好循環を通じて社会が発展していくからです。

 資本主義において科学の発展は、主に「拡大再生産」に役立てられてきましたが、前述した通り、それは様々な課題をもたらし、もはや限界を迎えていると言えます。

 一方、「ともいき」経済で目指すのは、高付加価値の循環をもたらす「高質再生産」です。

ポイントは、量ではなく質を高めていく、という点です。

 たとえば商品やサービスを企画する際、人の為、社会の為、地球の為につくることを最上位目的とし、アイデアを検討する。優れた既存技術があっても、この最上位目的に照らした時、それ以上に優れた新技術があれば、迷わずそれを採用する。既存技術やビジネスモデルを有する企業がすでに多くの雇用を生んでいたとしても、国や社会の大多数の消費者や暮らしが良くなる方向で改善するなら、躊躇なく速やかに新たな技術やビジネスモデルを採用し、好循環社会を目指す。その際、既存技術やビジネスモデルを有する企業には配慮(一定の支援)を同時に行い、新たなイノベーションに向けた変革を促すことで、最大多数者の最大幸福を実現するというかたちです。

 また、当然ながら生産から廃棄においては、再資源化や高効率化によって環境汚染や廃棄物を出さない方法を選択するべきです。

 この「高質再生産」というプロセスが繰り返される中で、モノづくりのあり方から商品・サービスまで、あらゆるものの質が累進的に高まっていきます。

そして、愛に満ちた商品やサービスは付加価値の高いものとなり、人々の心や体を喜ばせ、その質を高めていきます。この過程で、人の為、社会の為、地球の為にならない仕組みや技術は淘汰され、前例のない仕組みや技術でも目的に適うものは取り入れられるようになります。

 新陳代謝が図られることで本当の意味で質の高いものだけが残り、付加価値の向上に寄与するようになるのです。

生産・消費・廃棄(資源循環)のあり方は真善美に適ったものとなり、企業、顧客、社会に高い付加価値をもたらすものになっていきます。それがともいき主義が生み出す「高質再生産」の社会です。

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